女児に握手やハグをしていたことが発覚
ただ、ショーを見に来ていた別の男性ファンに話を聞くと、過去のイベントではやはり迷惑行為があったという。
「プリキュアはそれぞれの作品ごとにファンの熱の入り方が違います。前作のファンはとにかくひどかったですね。ショーでの大声や邪魔になる撮影はもちろん、自作したのか買ったのかわからない非公式の着ぐるみまで着て、プリキュアになりきっている人もいました。ここまでくると迷惑行為と言われても仕方ないと思いました」
この男性が言う”非公式の着ぐるみ”は、2023年に問題となっている。
一部のファンが公園などで、プリキュアの着ぐるみを着用して、女児に握手やハグをしていたことが発覚し、SNSなどで物議を醸した。着ぐるみを着ていたと思しき男性は、SNSに「昨日はかなりよかったですよ。女児が抱きついてきたり抱っこしたりしました。グリーティングは着ぐるみの醍醐味ですよね」などと投稿していた。それに対して、「法律に抵触しないのか」などの批判が相次いだ。
これを受けて、プリキュアの公式サイトと東映アニメーションは23年8月、Xで「ファンの皆様へのお願い」と題した声明を公開。「昨今、一般の方による非公式グリーティング活動(営業活動、一般の方へのお声がけや接触行為)が見受けられる」とし、「作品公式と誤認させるような弊社キャラクター等を模した扮装による公共の場所で上記活動はお慎み頂けますようお願いします」と注意喚起をした。
前出の男性ファンはこう続ける。
「迷惑行為をするファンは地域によって異なります。例えば、関西地方だと有名なファンが迷惑行為をすることが多いと聞きます。彼らは、プリキュアのイベントの参加回数の多さや、レアグッズの保有数などで“強い”ファンと呼ばれています。また、迷惑行為の度合いはイベントの大きさに比例していて、大きなライブやショーでは大声を出すのは当たり前の光景となっています」
なぜ、こうした迷惑行為が繰り返されてしまうのか。「オタクの消費」を主なテーマとして研究しているニッセイ基礎研究所の廣瀬涼研究員はこう指摘する。
「前提として、迷惑行為をしているファンに悪意はありません。イベントやコンテンツを楽しんでいるだけです。ただ、そのような自己満足の範疇であった楽しみから、『俺はこんなに好きなんだ』という他のファンへの行き過ぎたアピールにつながることもある。また、彼ら自身はその作品が好きで応援しているが故に、イベントを盛り上げているという意識を生んでいる者もいるのです」