「太鼓やトランペットなど、鳴り物使用に関して許可がいるのは理解できるし判断基準も明確。しかし指笛やブーイングに関しては何を基準に規制するのかが難しい。選手からの要望を受け入れて、全てを禁止事項にするのも疑問は残る」(在京球団関係者)

 鳴り物応援に関しては、NPBが定める「試合観戦契約約款」および「特別応援許可規程」によってルールが明確にされている。しかし指笛やブーイングなどに関しては、各主催球団の裁量に任されている現状がある。

「『選手側の意向』と言われれば全てが禁止になる傾向は強い。古くはウェーブ禁止から始まり、今回の指笛やブーイング問題に至る。選手が心地良い環境でプレーしたい気持ちは理解できるが、これではスポーツの醍醐味であるホームとロードの区別もなくなりかねない」(在米スポーツライター)

 かつてのプロ野球の球場では、ファンたちが行うウェーブも度々見られた。しかし、その後に選手からクレームが出たことで今では禁止事項となるなど、応援のスタイルも時間とともに変わってきている。

「選手からの意見で球場演出が規制されることもある。以前は打者が『見にくい』と言うので、センター後方スコアボードへの露出も制限されていた。近年はエンタメ重視になってきて変化もあるが、主催球団は選手から意見が出ないかの心配は尽きない」(在京球団関係者)

 例えば、ZOZOマリンは内野スタンドにリボンビジョンが設置されている。しかしインプレー中のバックネット真裏だけが何も掲示されず黒くなっているのはプレーに関するものだとも言われる。

「選手がプレーしやすい環境作りは大事だが、要望が全て通るのも考えもの。相手球団の鳴り物応援に対しても、ものによっては『うるさくて集中できないからやめさせてくれ』という声が出てきてもおかしくない。指笛の件も含め、NPBは明確なガイドラインを提示する必要がある」(スポーツマネージメント会社関係者)

 MLBワールドシリーズではムーキー・ベッツ(ドジャース)が捕球したフェンス際のファウルボールを、スタンドのファンが奪い取ろうとする暴挙があった。観客2人は即座に退場処分、主催球団ヤンキースからは出禁処分が下された。米国では試合進行を妨げる行為には厳格に対応する一方、スタンドからは相手選手に対する容赦ないヤジやブーイングが飛ぶのは日常茶飯事だ。

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メジャーでの指笛やブーイングの考え方は?