今回の帯は雅子さまのお気に入りかもしれないが、合わせる着物やお出かけになる訪問先によって、同じ帯でも印象が変わってくるのは、和装の素晴らしさだ。
バッグは佐賀錦のクラッチバッグで白と金の細かい紗綾形(さやがた)の模様。「シンプルですが、ゴージャスでスタイリッシュ。雅子さまのセンスにぴったりだと思います」と青木氏がいうように、雅子さまらしさがここにも垣間見える。
園遊会に和装デビューされた愛子さま
和装での園遊会デビューだった愛子さまも「雅子さま同様に自然体だった」と青木氏は指摘する。
「袖に天皇家の十六葉八重表菊の紋がついた、三つ紋の本振袖でした。胸元は薄いピンク地に見えますが、裾が優しい朱色の裾濃で、サーモンピンクから朱への濃淡になっています。光沢のある綸子地で、紗綾形に花を取り合わせたちょっと凝った地紋です。胸元は金の扇面に、白い牡丹や梅、流水が描かれ、一部金糸で縁取りがなされています。上前の裾の扇面には、様々な種類の菊が、金を背景に描かれています。その他の扇面や地にも菊、桔梗、菖蒲、撫子、萩、蘭、桜、紅葉、など四季折々の草花が描かれ、まさに百花繚乱。愛子さまの溌剌とした若さと初々しさにお似合いの振袖です」(青木氏)
そして、帯には天皇家の内親王の証があったという。
「帯の菱枠の中に織り出された菊は『十六葉八重(やえ)重ね菊』。これを正面に結び、着用された愛子さま。この帯結びを見て、愛子さまが天皇家の内親王敬宮さまであることを、実感する方もいらっしゃるでしょう。桐、菊、唐草と、格の高い文様も織り出されています。朱の濃淡の中に図柄が金糸と白で織り出されています。帯の白と着物に使われている白とが相まって、愛子さまの清々しさとお似合いです。帯揚げは、優しいピンク、帯締めは若草色のゆるぎ。振袖には一般に、金銀糸を加えた華美な帯締めを合わせがちですが、雅子さまと同様、一色の『ゆるぎ』をあわせられたところが、さり気ない感じです。それだけ、正面の十六葉八重重ね菊の文様も生きています」(青木氏)