衆院選で2009年以来の与党の過半数割れとなり、党内の混乱が収まらない自民党。公示後、裏金問題で非公認となった候補が代表を務める政党支部に2000万円を出していたことに不満を募らせる議員も多い。今後の首班指名で、全員が「石破茂」と書くのかも微妙な様子で、不穏な状態が続いている。
「石破おろしの号砲が鳴りそうだ」
と自民党の小選挙区で当選したA議員が憤慨する。
衆院選当初、情勢調査などから自民党と公明党での過半数確保は「ほぼ間違いない」とみられていた。しかし、「政治とカネ」の問題への不信感から急落し、最後は、裏金事件で非公認とした8人の候補者の政党支部に2000万円の“選挙資金”を入金したことが「しんぶん赤旗」の報道で明らかとなり、ダメ押しとなった。
問題は入金した時期
2000万円という額は、公認候補の公認料500万円、活動費1500万円と同じ。
これについて石破茂首相は、「選挙資金ではなく、活動費だ」と反論するも後の祭り。大阪で落選した自民党の候補者は、情勢調査で維新を相手に数%優勢という数字だったが、
「突然、逆風が吹いて、あっという間に維新に議席がとられていった。2000万円さえなければ、違った結果だった。オウンゴールだ」
と2000万円問題が落選の原因だと怒った。
自民党幹部によれば、非公認に2000万円出すという決定権を持つのは、石破首相と森山裕幹事長だという。
「時期ですよ、問題は。党内手続きはとられているが、なぜ選挙期間中に入金したのか。2人のうちどちらがこの時期に入金せよという指示を出したのか。党内で検証が必要。石破首相が主導していれば当然、責任を取らなければならない」
とA議員。
兵庫12区で当選した元環境相の山口壮氏は、
「自公で過半数を取れなければ、責任を取って即刻辞めて欲しい」
と石破首相に退陣を迫った。
しかし、石破首相は28日の会見で、
「国民の皆さまの疑念や怒りが払しょくされていなかったと認識している。自民党は反省が足りないと叱責された」
としながらも、
「厳しい声は謙虚に受け止めるが、安全保障、経済環境、国政は一時たりとも停滞が許されない。国政を確かなものとして進めていく。国民生活を守る、日本国を守ることで職責を果たしてまいりたい」
と今後も政権運営を担っていく考えを示した。