十六葉八重表菊、三つ紋のお着物
そして、令和になって初めての園遊会となった23年春。
皇后となった雅子さまがお召しだったのは、内廷皇族の菊紋である十六葉八重表菊(じゅうろくようやえおもてぎく)の三つ紋の訪問着。淡い水浅葱色に流水文様と初夏の草花である花菖蒲が染め上げられた、美しい装いだ。
「流水文様は、夏草や秋草と組み合わせて風景を構築する意匠。菊とともに一部を金駒繍で仕上げられ、流水文様と品よく調和しています」
と、泰三さんは話す。
雅子さまは、白い帯締めをお選びになることが多い。シンプルだが、着物を美しく引き立てる上品な小物使いだという。
控え目でありながら品のある雅子さまの装いからは、園遊会の主役である招待客への心遣いが伝わってくるようだ。
今秋の園遊会の「主役」として、陸上女子やり投げの北口榛花さん、スケートボード男子ストリートの堀米雄斗さん、柔道の阿部一二三さんといったパリオリンピック、パラリンピックのメダリストたちや、建築家の隈研吾さん、歌手で俳優の杉良太郎さんなど、各界で功績のあった約1900人が招待を受けている。
(AERA dot.編集部・永井貴子)