愛子さまを思わせる「貝合わせ」の「貝桶」
翌95年の秋の園遊会では、雲の形を表現した吉祥柄の「雲取り」柄にたくさんの菊や秋草があしらわれた、秋にふさわしい訪問着。裾にあしらわれた濃い緑色と朱色の雲の対比が若々しい。
2003年の秋の園遊会では、ショートヘアの雅子さまが、凜とした雰囲気で訪問着を着こなしている。
「髪は長くても短くても、どちらでも素敵です。髪やおくれ毛が着物の衿にかからないよう、衿あしはすっきりとまとめるのが美しい着こなしです」(泰三さん)
雅子さまの着物には、王朝遊びのひとつ「貝合わせ」の貝をしまう六角形の「貝桶」が華やかに描かれている。貝桶からは、色彩豊かな貝がのぞいている。
幼い愛子さまと遊ぶ、母としての雅子さまを想わせるような優しい柄行。帯に織り上げられた鳳凰の意匠が、格調高く全体を引き締めている。
平成最後となった18年の秋の園遊会では、淡黄(たんこう)色の布地に緑から紅く色づく写実的な紅葉が斜め取りに配された訪問着をお召し。
紅葉には金の箔が上品に入り、帯には吉祥柄である菱型の意匠が織り込まれている。