【4】 しゃべることに慣れる
新人時代、「下手なしゃべりを聞くと下手になるぞ」と言われたことがあります。
ずいぶんな物言いですが「いいアナウンサーは耳がいい」と言われるのも事実です。それだけ耳は大切なのです。
自分の会話を録音して聞き返すのも、癖を客観的に捉えることができるので、オススメです。
あの人のようにしゃべりたい、プレゼンしたい、という目標がある人は、その人のまねをしてみるのもいいでしょう。良いリズムや抑揚が身についてきます。
もう一つ、言葉を常に口から出して、「音声化」する。「しゃべり慣れる」ことも大切です。
アナウンサーは道行く人や車窓からの風景をひたすら実況練習します。反対に、長期休暇明けはなんだか調子が出ずに咬みやすくなることも。
番組でアドリブが上手な俳優やアナウンサーを見ることがありますね。実は、アドリブは何もしなくても天から降ってくるものではなく、シミュレーションや経験の積み重ねによって会話の引き出しが増えたからこそできる技なのです。
しゃべる経験を積み、コミュニケーションに慣れておくことが大切です。
【5】 「何を伝えるか」を先に考える
ここまで、どう伝えるか、という点について話をしてきました。
しかし、最も重要なのは、「何を伝えるか」を先に考えて頭を整理しておくことです。
話のテーマや、結論を最初に伝えることで、こちらの内容を簡潔に理解してもらうことができます。
まず何を伝えるかを整理する。つぎに、どう伝えるかを考えてくださいね。
私は元来、内弁慶なタイプで、5人以上集まる場所では、素の自分ではいられませんでした。
それが、アナウンサーとしてコミュニケーション力が鍛えられることで、自信がつき、人と会い、話すことが楽しくなりました。自分らしさを出しながら生活できるようになった経緯があります。
この経験を、一冊の本につづりました。皆さんと一緒に「伝わる」楽しさを共有できればうれしいです。
(本誌 永井貴子)
※週刊朝日オンライン限定記事