組織づくりや人材マネジメントに詳しい、経営コンサルタントの横山信弘氏は、次のように話す。
「多様性の時代に、画一的な対応をとるマネジャーは失格といわざるをえない。その点で、新庄監督は時代の雰囲気に合致したマネジメントスタイルを貫いているのでは。
一方で、選手の個性に応じた対応は一朝一夕にできるものではない。普段から選手の言動を細かく洞察して、向き合う姿勢がまず求められるものだ」(横山氏)
確かに、新庄監督はタブレットを駆使して自他問わず細かに選手を分析していると語っている。
その人に応じて、接し方を変えられるか?
そして、分析だけでなく、”人事”の際にフォローをしているのも特徴的だ。
たとえば、後半戦、清宮とともに打線を牽引した新外国人のレイエス。メジャーで2度の30本塁打を記録した長打力を誇るレイエスだったが、序盤は日本野球になかなか適応できず、不振から5月13日に2軍落ちとなった。
この処遇には、レイエスも「『帰る』とまで言っていましたよ」(新庄監督談)とのことだったが、2軍にいるレイエスとメールなどで連絡を取り、激励してきたことを明かしている。
ここで思い浮かぶのは、中日ドラゴンズの立浪和義監督だ。新庄監督と同じく、監督3年生だった今季、序盤こそ好調だったものの長続きせず、ふたを開けてみれば3年連続の最下位となった。
立浪監督について調べても、新庄監督のように選手に合わせた接し方をしていたという記事はなかなか見当たらない。
もちろん監督やコーチ、そしてフロントなどそれぞれに役割分担があるため、監督が細かくデータ分析をすべき、というわけではない。また、プロ野球ではドラフト戦略やFA、怪我人など様々な要因が複雑に絡まるため、監督の指導力だけで決してすべてが決まるわけではないのも事実だ。