「個」に向き合い、「集団」をもひとつにする……そんなマネジメントスキルを持っている人は、プロ野球はもちろん、現実の企業にもそこまで多くないだろう
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 選手たちに平等に機会を与え、成長を促し、時に厳しさも見せた新庄監督。健全な競争、公平な評価とともに新庄采配で目立ったのが、選手の個性に合わせた接し方である。

清宮の奮起を促した、新庄流マネジメント

 メディアを通して見える範囲に限ってではあるが、代表的なのが清宮幸太郎への対応だ。

 新庄監督は就任当初から清宮に対して厳しい態度で接し、2021年の秋季キャンプでは減量を提案。さらにホームランを打っても「痩せろと言わなかったら間違いなく凡打。ボスのおかげ」と愛のある“イジり”をしている。

 その甲斐あってか、清宮は新庄監督初年度の2022年に自身初の2ケタホームランを放つと、以降も今季まで3シーズン連続の2ケタを記録。今季は規定打席こそ到達しなかったが、300打席以上に立って打率は3割ちょうど、長打率も大きく伸びるなど成長を見せている。

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