意識するのは日本選手

 男子は宇野昌磨が引退し、次期エース争いが本格化。北京五輪銀メダリストの鍵山優真(21)は、日本男子を見て言う。

「みんなが五輪に向けて本気なのを肌で感じるので、今季から存在をアピールしていきたい」

 鍵山は、今季の目標に表現面をあげた。

「昨季までは思い切りの良さや疾走感のあるプログラムでしたが、20歳も超えたので、大人っぽく、貫禄のある滑りを目指したい。フリーはフラメンコに初挑戦するので、顔だけじゃなく、手の表現や足の細かいステップを意識しています」

 新たに取り組んでいる4回転ルッツについても言及した。

「すごく良い感触になってきたので、スタミナをつけて曲の中で跳べる準備をします」

 また、会見に参加した友野一希(26)、山本草太(24)、佐藤駿(20)、三浦佳生(19)、鍵山の全員が、「意識する選手」として「日本選手」を挙げた。昨季の全日本選手権では、フリーの最終グループ6人全員が好演技で大熱戦に。その余韻が、彼らの士気を高めている。

 昨季の世界選手権に出場した三浦も、気持ちを引き締める。

「日本が激アツ。五輪のことを考えてしまうとダメな性格なので、試合になったら自分に集中して最高の演技をしたい」

 佐藤はフリーで、日本勢最高レベルの構成となる4回転ルッツと4回転フリップに挑む。

「失敗を恐れずに、すべての試合に取り組んでいきたい」

 男子は、世界王者のイリア・マリニン(米国、19)とアダム・シャオイムファ(フランス、23)、日本勢によるハイレベルな戦いが予想される。GPファイナル(12月、フランス)に向けた戦いは始まったばかり。プレ五輪シーズンの緊張感ある戦いに注目したい。(ライター・野口美恵)

AERA 2024年10月28日号

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