9月30日、都内で開かれた記者会見に出席した選手たち。前列左から三原舞依、千葉百音、坂本花織、鍵山優真、三浦佳生、山本草太。後列左から渡辺倫果、吉田陽菜、佐藤駿、友野一希
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 フィギュアスケートの2024-25シーズンが本格的に開幕。プレ五輪シーズンとなる今季は、各選手の戦略に個性が光る。AERA 2024年10月28日号より。

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 2026年に開催されるミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪の代表争いは、今季から始まっていると言っても過言ではない。新しいことに挑戦する最後の時間とするか、実績を出して世界ランキングを上げるか、それぞれの思いが交錯する。今季のグランプリ(GP)シリーズ開幕直前に都内で行われた会見では、トップ選手たちが戦略を語った。

 世界選手権4連覇を狙う坂本花織(24)は、「CHANGE」と書いたボードを掲げた。

「一番分かりやすいチェンジは、フリーのジャンプです。(ルッツを1本増やし)フリップとルッツ2本ずつにします。五輪1年前なので、リスクはありますがやって損はない。うまくいけば選択肢が増やせます」

五輪への強い気持ち

 しかし会見後のインタビューでは、その宣言を言い換えた。

「先ほど『CHANGE』と書きましたが、『つなげる』という意味で頑張りたいです。ジャンプ構成など自分の可能性を増やして、五輪シーズンにつなげるのが目標です」

 言い換えたのは、五輪への強い気持ちを自身の心に刻むため。ジャンプを変更することですぐに結果は出なくとも、来季に向けて忍耐するのだ、という意志を感じさせた。

 坂本を追う日本女子も勢いがある。吉田陽菜(19)と渡辺倫果(22)は、トリプルアクセルを武器に飛躍を誓う。

「米国のアンバー・グレン選手(24)は、今季すでにショートとフリーでトリプルアクセルを決めています。自分も挑戦し続ける勇気をもらいました」(吉田)

「今季からは、ショートとフリー合計3本のトリプルアクセルに挑戦します」(渡辺)

 また世界選手権7位の千葉百音(19)は新たな表現を目指す。

「どんどん進み続けるイメージで弾けたい」(千葉)

 怪我明けの三原舞依(25)は復調に手応えを感じ、「ゴージャスに舞いたい」と意気込む。

 国際スケート連盟はロシアの参加を今季も見送り、日本女子の強敵となるのはアメリカ勢。4回転を跳んだことのあるアリサ・リウ(19)も復帰し、戦いはヒートアップしそうだ。

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意識するのは日本選手