気付いたら70歳。しんどいこともあった。あれこれと悩むこともあった。これからはもうちょっと自分ファーストな生き方をしてみたい。エッセイスト中山庸子氏は、今後のいい人生を育むため、やめるべきことを提案する。著書「70歳を越えたらやめたい100のこと」(アスコム)から一部を抜粋して紹介する。
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◆硬くて重い靴 柔らかくて軽い靴なら歩くのも好きになる
歩けることのありがたさ、というか歩けなくなることのつらさは、母の介護でつくづく感じたので、歩けるは私にとって「やめたくないこと」の筆頭。
そこで、すぐに脱ぎたくなったり乗り物に頼りたくなる、硬くて重い靴はすべて「やめる」ことにしました。
今までは、靴を処分するときも、流行やデザイン、色とかを考えて……なんて感じだったから、なかなか減らせなかった。
ところが、硬いや重いなら、触って持ちあげればすぐに分かるから、とってもラクに決められます。
靴の外見にまどわされず、「硬くて重い靴」には何の未練もないし、正直「そこそこいい値段だったから」くらいでは、引かれる後ろ髪もありません。もし一瞬「もったいない気分」の波が寄せてきたとしても、「そのたびにタクシーになっちゃったら、かえって高くつくかもよ?」と、自分に切り返しちゃえばいい。
硬くて重い靴を買った頃より、今選ぶソックス類も厚手のものになっているから窮屈に感じるし、薄手のタイツとかで靴擦れにでもなったら、人生のうちの数時間を〈我慢〉に取られてしまう(こんなときタイツはすぐに脱げないから始末が悪いです。お腹はあったかいけど)。
試しに、今一番よく履く靴の重さを量ってみると、なんと片方が120グラムという軽さでした。そのおかげでこの靴を履いたときは、サクサク歩けてたんですね。その感じを手に覚えさせて、他のも次々手秤で測定。「えっ」と言葉が出るくらい、靴によって重さが違うことが分かりました。