算数オリンピックのメダリストを多数出している塾がある。田邉亨さんが設立したりんご塾(本部校・滋賀県)だ。子どもの才能の芽を潰さず、うまく伸ばす方法があるという。
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解きたいから、解く
あいさつをするときに恥ずかしがって目を合わせない。
調子が乗ってくると椅子から立ち上がり、歌をうたいながら問題を解いている。
そんな生徒がいても、厳しくは注意しない塾がある。りんご塾だ。
生徒たちが集中しているのは、パズル形式にした算数や国語の問題だ。まるで“好きなもの”に夢中になるかのように、生徒たちが前のめりに解いていく。勉強が得意な子もそうでない子も楽しそうに取り組み、次々とクリアしてどんどん先へ進んでいく。
りんご塾は算数に特化した学習塾だ。2000年に田邉亨さんが滋賀県に開校した。現在は城南コベッツや明光義塾と共同で全国展開している。田邉さんは、生徒から「なぜ勉強をしなければならないの?」と聞かれたら「負け」だという。
「問題を解くのが『楽しい』と思わせなきゃダメなんです。頭を使って解くことがおもしろくて、問題を解きたくて解いていると思ってもらいたい」
解きたいから解く。子どもが自主的に問題に取り組むから、学力が伸びる。
算数オリンピックのメダリストが多数輩出
りんご塾は算数オリンピックのメダリストが多数輩出している。算数オリンピックとは算数の力を競う大会で、対象は小中学生。2024年の参加者は全体で5781人にも上り、りんご塾からは小1~小3の部門で金メダリストが5人、銀と銅は計31人と過去最高となった。
田邉さん曰く、金メダルを取る子の学力は、トップレベルの進学校で「1、2位を争うレベル」だそうだ。銀メダルの子ならトップ校に受かり、大学は東大や京大に入るレベル。銅メダルの子はトップ校から2番手校に受かるレベル。メダルが取れなくても、算数オリンピックに挑戦して中学受験に失敗する子はほぼいないという。
しかし、りんご塾では厳しく勉強を教えているわけではない。大切にしているのは「子どもの無邪気さ」を損なわないようにすること。「子どもにとって安心できる居場所となる、自由に学べる塾にしたい」と田邉さんは言う。