小3〜4向けの「倍数クロス」。2の倍数と3の倍数をそれぞれ線でつないで、6や12の公倍数で線が重なる問題。これで視覚的に公倍数がわかるそうだ。『天才!! ヒマつぶしドリル ふつう』(Gakken)から

「子どもはみんな『天才性』を持っています。天才性とは、素直さ、知識欲、向上心、表現力のこと。人間に元々備わっているギフトを壊さないようにしたいんです。子どもが子どものまま学べるような空間を提供しています」

 だから、大人が望むようなあいさつをさせたり、正しく椅子に座らせたり、いわゆる“常識的な行動”を子どもに強制しすぎない。天才性を伸ばすには、もっと大切なことがあるからだ。

ゲームが好きになるように、勉強を好きに

「素直さ、知識欲、向上心、表現力」といった子どもの天才性は「成長する過程でなくなってしまう」という。その理由を「大人になるための勉強をさせられるからだ」と田邉さんは分析する。

「親は『勉強しないと将来いい大学に行けない』『いい会社に勤められない』と、子どもに勉強をさせます。勉強が『大人になるための修行』になってしまっては、子どもにとってつまらない。子どもは子どものままで、欲しがるままに知識を得ればいいんです。

 好きなものへの興味から、電車や恐竜やゲームにものすごく詳しくなる子がいるでしょう。りんご塾ではそれと同じことを勉強でやろうとしています。子ども特有の素直さで物事を吸収していくから、どんどん伸びていくのです」

 大切なのは、自分が知りたいと思うことを自発的に学ぶのと同じように、算数や国語の勉強に取り組むことだという。自分がやりたいから勉強をやっている。だから、生徒の成績が伸びる。天才が育っていくのだ。

立体パズルなどを使って、手を動かして問題を解くこともある

大学でショックを受けた

 なぜ田邉さんは現在の指導法に行きついたのか。

 田邉さんは学生時代、教師から気に入られるタイプではなかったという。高校では先生に意見を述べ、大学でも同じようにしていたら、教授から「周りの人はみんな君のことを鬱陶しいと思ってるよ」と言われてしまった。

「傷ついたというよりショックを受けました。学びたいから義務教育が終わっても学校に通っていた。なのに、授業の内容を暗記して、テストでいい点数を取ればそれでいいという」

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