広島の九里

 菅野の復活劇の要因として、今季すべての登板試合でマスクをかぶった同学年の小林誠司の存在が挙げられる。スポーツ紙記者は「バッテリーを組む捕手の重要性」を強調する。

「菅野は絶対的な決め球があるわけでなく、配球が生命線の投手です。今年は絶大な信頼を寄せる小林がリードすることで、リズムよく投げられていた。メジャーでもバッテリーを組む相棒の存在がカギを握ります。今年オリックスからポスティングで移籍したドジャースの山本由伸が思うように活躍できていないのは、故障に苦しんだのが大きな要因ですが、正捕手のウィル・スミスが山本の良さを引き出せていないことも影響しているように感じます。データに基づいてリードしている部分が当然ありますが、球種が偏って首をかしげるような配球の組み立てが多い。菅野がメジャー挑戦で球団を選ぶ際、バッテリーを組む捕手も大事な判断材料になるでしょう」

「九里のチェンジアップは大きな武器」

 菅野のような目立った記録はないが、菅野よりも「メジャーで活躍する」と評価する声も上がっているのが、広島のタフな右腕、九里亜蓮(33)だ。

 九里は今季7勝10敗、防御率3.21と納得できる成績を残せなかったが、大きな故障がなく先発ローテーションで投げ続けている。昨年の投球回数はリーグトップの174回1/3。21年に最多勝をマークしている。九里は昨オフの契約更改で将来的なメジャー挑戦を示唆していた。21年オフに3年契約を結び、今年が契約最終年。海外FA権を行使する可能性がある。

 米国で取材する通信員は九里への高評価を口にする。

「メジャーは手術歴があることを気にしますが、彼は肩、肘で大きな故障がなく投げ続けているのが好材料です。体力もあるので中4日の先発に適応できるでしょう。タフで闘争心を前面に出す投球スタイルは日米通算203勝をマークした黒田博樹さん(現広島球団アドバイザー)と重なります。多彩な変化球を操り、打者を打ち取る引き出しが多いのも魅力です。メジャーの使用球はNPBと比べて滑りやいと言われ、日本で決め球にしていた変化球が使えないケースが少なくない。変化球の球種が多ければ、想定外の状況に対応できる。三振奪取能力が高いとは言えないが、縦に落ちるチェンジアップは大きな武器になるでしょう。先発だけでなく、中継ぎでも投げられるので起用法の幅が広いことも重宝されます。菅野に比べて契約条件は落ちますが、メジャーで日本と遜色ない成績を残しても不思議ではない」

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