スポーツの秋。皇族方もさまざまなスポーツをたしなみ、鑑賞し、楽しんできた。そんな皇族方の「あのとき」を振り返る(この記事は「AERA dot.」に2023年4月1日に掲載した記事の再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。
【写真】甲子園の始球式で見せた浩宮さまのダイナミックな投球フォーム
* * *
日本を熱狂の渦に巻き込んだワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。天皇陛下と皇后雅子さま、長女の愛子さまも日本対米国の決勝戦を仲良くテレビで観戦。14年ぶりとなる日本チームの優勝をご一家で祝福した。野球好きとして知られている天皇ご一家。今回は画面越しで楽しんだが、球場で観戦を楽しむことも珍しくない。
「折れたバットが飛んできたら怖いでしょうね」
7歳の愛子さまの強い希望で実現した初めてのプロ野球観戦だった。場所は神宮球場(東京都新宿区)。2009年のヤクルト対横浜戦だ。試合中、打者のバットが折れるハプニングが起きた。すると愛子さまは、隣にいた雅子さまにそう質問をしたのだ。
愛子さまは双眼鏡を手に、ニコニコと子どもらしい笑顔を見せていた。お気に入りとして知られる横浜(当時)の内川聖一選手が活躍した場面では、身を乗り出して、パチパチと大きく拍手を送った。
愛子さまは活発な少女だった。宮内庁の職員を相手に、バスケットボールや野球をよく楽しんだ。中学時代、ソフトボール部だったお母さま譲りなのだろうか。投球力はかなりのものだという。
天皇陛下と雅子さまの野球熱は、筋金入りである。
中学時代にソフトボール部に所属した雅子さまは、当時から熱烈な野球ファンでもあった。「週刊ベースボール」を愛読していたエピソードはよく知られている。
今回、ご一家で観戦したWBCの試合も、皇太子ご夫妻時代に06年の第1回、そして09年の第2回と続けて、試合が行われた東京ドーム(東京都文京区)に足を運んでいる。
06年の観戦時には、当時、読売新聞グループ本社会長だった渡辺恒雄氏が皇太子さまの隣についた。野球好きのご夫妻らしく、「イチロー選手にお会いしたい」と希望を伝えたところ、試合前に貴賓室でイチロー選手との面会が実現した。
浩宮時代の天皇陛下の野球少年ぶりは、有名だ。当時のエピソードを振り返ると、少年らしい素顔が見えてくる。