米・シリコンバレーにあるアップル本社ビル(2018年撮影)。今春、総合商社に入社した女性は「いつか働いてみたい」と話す(写真:アフロ)
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 海外で働くことを選ぶ日本人の多くは、労働環境の良さと男女差がないことが理由のようだ。一方で知っておきたいデメリットと、近年の海外志向の高まりとそのキャリアイメージを考える。AERA 2024年10月14日号より。

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日本と海外の働く環境を比べた時に、職場での男女差がないというのは大きな魅力だ。

 もちろん、国によって差はあるものの、男女差がないこと、通勤時間と残業が少ないこと、子育てのサポートを得やすいことといったメリットは大きいようだ。働くならば、これからは日本より海外なのか。

現地採用は低賃金も

 その決断をする前に、よく考えておきたいのは、給与のことだ。

 タイで日本語教師として働く女性は、

「日本語教師として現地の学校に採用されるということは、賃金もその国の基準となるためどうしても低くなります」

 と打ち明ける。

 メリットもデメリットもある海外就労だが、若い世代はどう考えているのか。

 20代に特化した就業支援事業やIT分野の教育研修事業を運営している「UZUZ」が今年2~4月、就活中の20代男女約1千人を対象に海外就職に関する意識調査を実施。その結果によると、「海外で働いてみたいと思いますか?」という質問に「思わない」と答えた人は全体の52.7%に上り、「今すぐ、もしくは将来的に海外で働きたい」の23.5%を大きく上回った。

 やはり「内向き志向」なのだろうか。けれど、最近、若い世代が日本を出るケースは増えている。

 オーストラリア政府の統計では、昨年6月までの1年間に日本人に発給されたワーキングホリデーのビザは1万4398件と、過去最多を記録。「カーネクスト」などの運営会社であるラグザスが、24年に20~30代の若者を対象に実施した海外留学や移住に関する調査では、ワーキングホリデーに関心のある若者に「海外移住/永住の可能性」を確認したところ、合計で86.7%が「可能性がある」と回答している。

「私もいつかは駐在員として、アメリカのシリコンバレーのようなスタートアップや最先端の企業が集まる環境で働きたいと思っています。でも、シンガポールのようなアジアの先進国も気になります」

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日本での再就職に壁