内山拓也(うちやま・たくや)/1992年、新潟県出身。「佐々木、イン、マイマイン」で第42回ヨコハマ映画祭新人監督賞など受賞。「若き見知らぬ者たち」は仏、韓国、香港との共同製作作品(撮影/写真映像部 東川哲也)

──彩人の肉体は暴力によって奪われるが、その思いは弟や日向に共有され、つながれていく。

内山:この物語がどう帰結するかは観客のみなさんに託される部分でもあります。ただ何かがひとつでも映画から表出したのであれば、みなさんの心に結びついてくれるのではないかなと思っています。

岸井:私は今回、霧島れいかさんが演じるお母さんの病気について知らなかったので、すごく衝撃でした。本当にいろいろな状況の人がいて自分の想像がそこまで届いていなかったと思い知らされました。みんな自分のことで大変だし、目の前のことで一杯一杯ですよね。でもあと一歩の想像力で、いろんなことがもっと変わるんじゃないかと思うんです。この作品は今よりも2歩も3歩も想像の先に行けるような衝撃があると思います。観た人が他人事じゃなく感じたり、その人自身の人生になにかが作用したりするといいなと思っています。

(構成/フリーランス記者・中村千晶)

AERA 2024年10月14日号

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