地球とほぼ同じ24時間37分で自転している火星は、地球にとても近い星。
表面が赤い惑星であることから、古代の人たちはローマ神話に登場する戦いの神「マルス」の名を火星に付けました(英語ではマーズ・Mars)。
そして火星と言えば、映画や小説にも登場する宇宙人の存在が気になるところですが、謎、神秘、魅力に満ちた火星が、5月31日に地球に最接近! この距離まで近づくのは、2005年11月以来です。
初夏を迎えるこの季節、夜空を見上げて、火星のあれこれに空想を膨らましてみてはいかがでしょう。
約2年2カ月ぶり! 地球と火星が接近
太陽を中心に地球のひとつ外側を公転しているのが火星です。
地球は365.26日かけて太陽の周りを公転する一方、火星は686.98日かけて太陽の周りを公転。
このため、地球と火星が接近するのは、約2年2カ月の周期。
火星の軌道は楕円を描いていることもあり、接近する位置は毎回ずれ、接近時の距離も大きく変わるのです。
太陽に近い位置で接近するのが「大接近」。
2003年の大接近のときは、5576万kmまで接近し、火星観測ブームなったことも記憶に新しいですね。
そして、太陽から遠い位置で接近するのが「小接近」。
今回は、7528万kmまで接近する「中接近」となります。
地球と最も離れているときは約1億km。次の大接近は2018年で、約半分の5759万kmまで近づくのです。
最接近前後の数週間は、地球と火星の距離が近いので、比較的長い日数にわたって、普段は見られない火星の表面が望遠鏡などで観測できます。天体ファンならずとも、これは見逃せませんね。
空はピンク色!? 火星ってどんな星?
火星の直径は、地球の約2分の1、質量は10分の1で、平均気温マイナス50℃。凍えるような寒さの小さな惑星です。
火星と言えば「赤い星」、英語では「Red Planet」とも言われますが、これは表面が酸化鉄を含む岩石で覆われているから。地表にはクレーターや火山、峡谷もあり、水が流れたような跡も確認されています。
何より特徴的な点は、空の色がピンク色であること。
こうしたところも、火星が地球人の夢を駆り立てられる存在といわれる所以でしょう。
さらに驚くべき点は、火星の大気にメタンが観測されていること。
火星の大気中にメタンが一時的に急激に上昇する現象を、NASAの火星探査機「キュリオシティ」が観測しており、神秘の惑星内に生命反応があるのでは……との推測もされているのです。
実現するか!? 人類の移住計画
火星には人類移住計画があり、オランダの非営利団体「マーズワン」財団は、2025年には火星に移住するとして、火星への片道切符の候補者を募集! すると、約20万人の応募があったと言います。
そうした壮大な夢を叶えるため、奇しくも次の大接近の年である2018年に、無人探査機を送ることが予定されています。
数十年後、あるいは数百年後の火星はどうなっているのか ── 。
それは誰にも分からないことですが、今回の地球と火星が接近は、火星を間近に感じられるチャンスだけでなく、人類の夢にあれこれ思いを巡らせられるロマンチックなランデブーともなりそうです。
友人、家族、恋人と、夜空に瞬く「赤い星」を見つける贅沢な天体観測も素敵ですし、もちろん、プラネタリウムや公開天文台でも、火星を観測するイベントが多数実施されています。
再接近の5月31日まで1週間以上あるので、観測を予定されている方はtenki.jpで天候を確認のうえ、神秘の惑星をこころゆくまで堪能してくださいね!