いつからか「世界観がすごい」と呼ばれる存在になった堂本剛さん。だが個性は、突飛な発想ではなく、地道な積み重ねの上に作られると語る。AERA 2024年10月14日号より。
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今年3月末に歩き出した新たなフィールドは、今までの道の延長線上にある。
「フィールドが変わっても、実はやっていることはそんなに変わらないんです。以前活動していた環境でも『叶えたいことがあるなら自分でやりなさい』という方針だったので。音楽だけじゃなくて、写真や映像、ファッション、メイクまで、一つ一つ自分で勉強してきました。ただ、フィールドを変えてからは、全てを自分で直接行えるようになったので、より自由度が増した感覚はあります。実現したいクリエイティブを精度高く、よりスピーディーにできるようになりましたね」
19年前に、クリエイティブプロジェクト「ENDLICHERI☆ENDLICHERI」を立ち上げてから、絶えず“自分らしさ”を発信することにこだわってきた。ときには「奇抜だ」「アイドルらしくない」と、批判を浴びることもあった。
「異端児と言われることもありますけど、僕ね、以前活動していた環境のルールを完璧に守って生きてきた人間ですから。全然、異端じゃないんですよ。めちゃくちゃ企画書書いてるんですから(笑)。全部、話をして、筋を通して、オッケーをもらってここまでやってきたんです」
ルールを無視しては自由にはなれない。だから相手と向き合う。ただし、同じくらい自分にも。飛び道具ではなく、正面突破の連続が、堂本を消費されない独自の存在として輝かせている。
「勘ぐりや忖度をせず、自分がやりたいことを誠意をもって相手に伝える。ダメだったらなぜダメなのか、その理由を聞く。そのうえで実現できる方法をまた考える。全部当たり前のことですけど、その繰り返しが人の気持ちを動かしているんだと思います。いい作品の裏には、それだけの理由や時系列がちゃんとあるんですよ」
(ライター・澤田憲)
※AERA 2024年10月14日号