フリーエージェント(FA)で加入した西川龍馬は夏場以降に状態を上げたのはプラスだが、杉本裕太郎、頓宮裕真という本来は得点源にならないといけない選手の不振が大きく響いた印象だ。二軍のチーム最多本塁打を見ても頓宮と育成選手である山中尭之の4本というのは寂しい限りである。将来のことを考えても、打線強化は大きなポイントとなりそうだ。

 一方のセ・リーグではやはり9月上旬まで首位を走っていた広島が挙げられる。強みはオリックスと同様に投手陣が安定していることだ。先発は床田寛樹、大瀬良大地、森下暢仁の3人が規定投球回をクリアし、いずれもリーグトップ10に入る防御率をマーク。九里亜蓮、アドゥワ誠の2人も100イニング以上を投げて防御率は3点台前半と結果を残した。リリーフも抑えの栗林良吏が6敗を喫したもののリーグ2位の38セーブをマークして防御率は1点台と安定しており、中継ぎの島内颯太郎、黒原拓未、森浦大輔、塹江敦哉、ハーンなども度々好投を見せた。

 課題となるのはやはり打撃陣だ。チーム打率、本塁打数はリーグ最下位で、シーズン24度の無得点試合は1957年の25度に次ぐ球団ワースト3位の記録である。最も多く4番を任せられたのがチャンスメーカータイプの小園海斗というのが苦しさを物語っている。シャイナー、レイノルズの新外国人野手2人が全く機能せず、昨年11本塁打を放った末包昇大が怪我で出遅れたというのはあるものの、打線強化は優勝に向けての最重要課題である。またオリックスと比べて主力投手の年齢が全体的に高いのは気がかりであり、ピッチャーの補強も継続的に行う必要はありそうだ。

 残りの4チームは来季も苦しい戦いとなる可能性が高そうだが、その中で上がり目がありそうなのがセ・リーグで3年連続最下位に沈んだ中日だ。投手では先発の高橋宏斗、抑えのマルティネス、野手では2年続けて結果を残した細川成也と投打の柱が確立できたことが大きい。特に投手では中継ぎ陣も強力で、終盤までリードしていればほとんど逃げ切れるというのは強みである。

暮らしとモノ班 for promotion
「プラレール」はなぜ人気なの?鉄道好きな子どもの定番おもちゃの魅力
次のページ
有望株が着実に成長する中日