高市氏になれば「立憲の政策が際立つ」
では、終盤になって党員・党友の支持を伸ばしている高市氏はどうか。立憲の鈴木庸介衆院議員はこうみる。
「高市さんが総裁になると、こちらはやりやすい。高市さんは首相になっても靖国神社に参拝に行くでしょうし、中国、韓国を含む海外との外交でも強気一辺倒です。あの考え方で外交がうまくやっていけるとは思えません。そうなれば、立憲の現実的な政策が際立ちます」
自民党の中でもタカ派で知られる高市氏が首相となれば、立憲とは国会論戦でガチンコとなる場面が多くなりそうだ。前出の伊藤衆院議員はこう話す。
「高市さんの路線は、右派の自民党支持層から好まれる側面はあると思います。しかし、より数が多いであろう中間的な保守層は、野田さんの方が政策的に近く、選挙では幅広く票が取れることも考えられます。とはいえ、そこは選挙を戦ってみないとわからないですけどね」
高市氏が総裁選に勝利すれば、日本初の女性総理の誕生となる。
「高市さんが勝利すれば、アメリカ大統領選の結果も大きく影響しそうです。民主党候補のハリス副大統領が共和党候補のトランプ前大統領に勝った場合、日本初の女性総理と米国初の女性大統領の誕生という歴史的な節目となります。その流れで日米首脳会談が実現すれば、自民党の追い風になる。高市さんはそれを視野に入れていると思います」(前出・立憲関係者)
政治ジャーナリストの伊藤惇夫氏は「立憲にとっては高市氏が一番やりやすい」と話す。
「高市さんは自民党の中でもバリバリのタカ派で、裏金疑惑の総本山である旧安倍派をバックにしています。野田さんは保守中道を標榜していますから、自民党を支持している『ゆるやかな保守』の人たちと相性がいい。高市さんのやり方に疑問を持つ自民党支持層が立憲に流れこんでいく可能性があります。とはいえ、もちろん自民党もそれは警戒しているはずなので、あえて石破氏に投票する議員が出てくる可能性もあります」