いったん断ったが但陽信金の要請で寄付
他の金融機関にも取材した。
パレード終了後に300万円の高額の寄付をした尼崎信用金庫は、寄付をした経緯について、次のように説明した。
〈11月1日に兵庫県の産業労働部総務課から協賛(寄付)の依頼があり(略)、11月2日、「パレードの協賛について見送りさせていただきたい」と回答〉
〈パレード開催の直前(11月22日)に、但陽信用金庫から「兵庫県から優勝パレード開催の資金が不足しており、県下企業に対して強く要請があった。協賛(寄付)について検討してほしい」との電話があり、再検討の結果、「地域を盛り上げ、地域の皆さんに喜んでいただこう」との思いで協賛することにしました〉
一度は断った寄付を、但陽信金からの求めに応じて考えを変えたというのだが、実際の寄付の受付日は優勝パレードが終わった後の11月29日だった。
補助金との関係については、
〈パレードへの協賛と補助金は一切関係なく、また、斎藤知事や当時副知事であった片山氏、兵庫県から内部告発に書かれているような申し出はありません〉
と否定した。
次にやはりパレード後に300万円の寄付をした姫路信用金庫は、寄付の経緯について、
〈11月22日に 他信金から案内があり、地域金融機関として、地域の活性化に繋がるイベント趣旨に賛同し内諾致しました〉
と回答。回答文では「他信金」となっていたが、電話で「但陽信金ではないか」と確認すると、そうだと認めた。
補助金と寄付との関係については、
〈補助金の増額によるキックバックとして協賛したという認識は全くありませんでした〉
とやはり否定した。
尼崎、姫路信金はいずれも、但陽信金から働きかけがあり、寄付を決断したという。このため、但陽信金に「幹事社」としての働きかけについて聞くと、担当者は、こう説明した。
「片山氏が11月22日に来られ、理事長と話をされました。『本来ならすべての金融機関にお願いにあがらねばならないが優勝パレードが明日なので時間がない』と依頼があり、他の金融機関のトップに理事長が連絡をとりました。幹事社といわれるとそうかもしれないが……」