9月24日、報道陣の取材に応じ、「どういう選択をするか、ほぼ固まってきました」と話す斎藤知事
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 兵庫県の斎藤元彦知事の不信任案を県議会が9月19日に全員一致で可決し、斎藤知事は自ら辞職、あるいは失職するか、県議会を解散するという選択を迫られている。

【図】13金融機関の寄付額一覧表はこちら

 ただ、忘れてならないのは、斎藤知事が職を失う、あるいは県議会を解散しても、内部告発で明るみに出た知事や県幹部の疑惑が、すべて解明されたわけではないということだ。

 内部告発された疑惑の中には刑事事件に発展する可能性があるものがある。中でも、AERA dot.が9月10日配信の記事「【独自】兵庫・斎藤知事らの補助金キックバック疑惑で金融機関幹部が重要証言『補助金と寄付はセットだった』」で報じたように、事件性が高いと言われるのが、「阪神オリックスの優勝パレード寄付金集めのため、金融機関に補助金をキックバックさせた」という疑惑だ。

 2023年11月23日、プロ野球日本一になった阪神とリーグ制覇をしたオリックスの優勝パレードが大阪・御堂筋と神戸・三宮で行われた。大阪府と兵庫県が連携し、警備などにかかる費用は企業からの寄付やクラウドファンディングで集めることになった。だが、大企業が多い大阪では比較的順調に寄付が集まったのに対し、兵庫ではなかなか寄付が集まらなかった。

 元県民局長の内部告発文書には、こう記されている。

〈クラウドファンディングや企業から寄付を募ったが、結果は必要額を大きく下回った。そこで、信用金庫への県補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせることで補った。幹事社は但陽信用金庫。具体の司令塔は片山(安孝)副知事〉

 ここで県補助金と書かれているのは、県の金融機関向けの「中小企業経営改善・成長力強化支援事業」による補助金のことだ。2023年12月の補正予算を作成する際、11月14日の財政課長査定の段階では補助金総額は1億円だったが、16日の産業労働部の事業計画では総額3億7500万円に増額され、最終的に21日に斎藤知事の判断で4億円が補正予算に組み込まれることになった。数日のうちに補助金が3億円も増額されていた。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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