――モー娘。のダンスプロデューサーを務めた夏さんは、昨年7月に61歳で逝去されました。改めてどのような存在でしたか
テレビの放送を見ると怖いイメージがあると思います。実際に厳しい方でしたが、一人ひとりのメンバーへの愛情をすごく感じました。「自分自身が一番のライバルだよ。殻を破るんだよ」「うまい人から盗みなさい、分からないことが合ったら自分から聞きに来なさい」という言葉は特に印象に残っています。ダンスで表現する楽しさだけでなく、生きていく上での知恵や、たくさんの愛、優しさを頂きました。
天国に旅立たれて1年が経ちますけれど、この3、4年は濃密な時間を一緒に過ごさせて頂き、笑い話もたくさんしました。もっと一緒にいたかったけれど、私の中では常に生きています。母の仏壇に夏先生の写真も並べています。朝の5時半に起きて30分間のストレッチも夏先生に教えてもらって、20年以上続けている習慣です。
――モー娘。で活動して2年が経った00年4月に卒業を発表しました。人気絶頂期だったので驚いたファンが多かったと思います
そうですね……母に反対されましたし、事務所にも引き止められました。目まぐるしい環境の中で精神的にちょっと疲れてしまって。船橋(千葉県)の実家に帰って家族と一緒に過ごしたくなっちゃったんですよね。衝動的に決めたわけではなく、若いながら考えて決断しました。
――その後、20歳でお子さんを出産され、一般企業で働いていた時期がありました
「アイドルがアルバイト?」って思う方が多いかもしれないですが、そんなに重い決断ではないですよ(笑)。履歴書を出すことに抵抗はなかったです。子どもの存在が大きかったかもしれません。習い事のプールに行くときのお小遣いにしたり、一緒に美味しいものを食べられたりしたらいいな、とか。商品管理の苦労や、1時間働くとどれだけのお金を頂けるのか、など学ばせていただきました。