メジャーでは専門の「ビデオ判定センター」が判定
民放のテレビ関係者はこう語る。
「そもそも、テレビ中継用の映像だけでリプレー検証することには限界があるんですよ。ボールだけを追いかけているテレビカメラは映像がブレてしまうことが多々ある。バックスクリーン、バックネット裏、内野、外野、照明の高さにリプレー検証用のカメラを取り付けるべきです。費用は当然かかりますが、今のカメラの台数では判定の見極めに限界がある。地方球場は厳しいとしても、12球団の本拠地球場に設置するカメラの台数を増やし、判定もAIを導入すべきです」
日本のプロ野球では2018年からリクエスト制度によるリプレー検証が導入されている。米国のメジャーリーグが14年から運用する「チャレンジ制度」を参考に取り入れたものだが、その環境はまったく違う。メジャーは30億円以上の費用をかけ、各球場にリプレー検証用のカメラを10台以上設置。多方面からの映像で確認することが可能となっている。また、総工費10億円以上と言われる通称「ビデオ判定センター」をニューヨークに設置。各球場の映像を一括管理し、リプレー検証が起きた際は当該球場の審判と連絡を取り合い、ビデオ判定センターの判定員が映像でプレーを確認する。リプレー検証の責任は審判ではなく、ビデオ判定センターの判定員が持つ。
「米国でリプレー検証の判定が問題になることは皆無に近いです。カメラの台数が多いので、立体的に映像を確認できて正確に判断できる。細かく精査しても明確に判断できない場合は審判の判定が尊重されます。メジャーではAIの導入も積極的に進んでいて、ストライク、ボールを機械が判定する『ロボット審判』もマイナーリーグで試験的に導入されています。日本球界でどこまで機械を導入するか賛否両論の声があると思いますが、リプレー検証については日本も参考にすべき点が多い。誤審を防ぐためにも、せめて球場内に設置するカメラの台数を増やすべきだと思います」(米国で取材する通信員)