リプレー検証で確認できない日本
グラウンドでプレーする選手達はどう感じるだろうか。日米でプレーした選手はこう語る。
「日本は確かに球場に設置されているカメラが少ないように感じます。審判の死角で捕手のミットからボールがこぼれたのに、リプレー検証の映像でも明確に確認できず、アウトの判定のまま覆らず、本塁生還が認められなかったときがありました。カメラの台数が多い米国なら間違いなく確認できていましたし、セーフになっていたでしょう。微妙な判定の際、批判の矛先は審判に向くので気の毒だなと感じます」
昨年8月12日のロッテ-西武戦(ZOZOマリン)は、後味の悪い結末になった。9回に同点に追いついたロッテがさらに1死二、三塁の好機で、荻野貴司が浅い中飛を打ち上げた。三塁走者の岡大海がタッチアップで本塁へ突入、西武の中堅・長谷川信哉の送球が三塁側に逸れて捕手・古市尊と岡が激突、古市は捕球できず、岡は本塁をタッチしてサヨナラ勝ちとなった。だが、西武は、岡の三塁からの離塁が捕球より早かったと主張。審判団がリプレー検証のためにバックネット裏へ確認に向かった。
約3分と長い検証が続いた後、本田英志球審がグラウンドに戻り、球場が静寂に包まれる。本田球審がマイクで告げたのは、
「リプレー映像はありませんので、判定通り得点とします」
との説明。三塁走者の離塁と中堅手の捕球タイミングがわかる映像がなかったということだろう。西武ベンチの首脳陣、選手たちは茫然とした表情を浮かべていた。
わだかまりが残る判定は、審判に対する不信につながる恐れがある。誤審をなくす観点からも、リプレー検証を巡る環境の見直しが必要な時期に来ているのではないだろうか。
(今川秀悟)