近藤さんによると、緩やかな「お茶会」などの場に積極的に参加するのは男性より女性の方が多いそうで、男性はメンズ・シェッドのように、役割や目的が明確で、感謝されたり、貢献を実感できたりする場を求める傾向が強いそうだ。

「日本では、ボランティアがおもちゃを修理する『おもちゃの病院』が各地にありますが、圧倒的に男性が多いように思います。高齢男性の居場所としては理想の形なのだと思います」(近藤さん)

職場と家庭以外のコミュニティーを持てる余裕を

 世界保健機関(WHO)の憲章では、「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態」だとされている。だが、この「社会的」の項目だけが長年、置き去りにされてきたと近藤さんは話す。

「コロナによる自粛生活を経て、つながりは健康そのものであると、その大切さが再度、見直されています。誰もがコミュニティーに参加できる社会の体制作りが重要で、そのためには職場と家庭以外にコミュニティーを持てる余裕が必要です。会社であれば副業を認めたり、働き方改革を一層進めたりするなどの話にもつながってくると思います」

 妻が亡くなったら、地面に張り付いた濡れ落ち葉より、みんなでひらひらと舞っている葉の方が幸せ度は高いはず。「その時」の前に、考えておきたいことである。

(國府田英之)

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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