山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師
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日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「歯周病」について、鉄医会ナビタスクリニック内科医・NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

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 少し前のことになりますが、日本の歯科クリニックでの最後の受診から約8カ月ぶりに、アメリカ・サンディエゴにある近所の歯科クリニックを受診しました。加入を申請したかった医療保険は、加入するタイミングが1年に1回しかなく、長らく保険なし状態が続いていました。

 自費扱いであれば、もちろんいつでも受診することはできたのですが、高額な医療費を請求されるのが怖く、なかなか受診することができずにいました。待ちに待った医療保険への加入が完了し、今回ようやく受診する運びとなったのでした。

 私の歯科クリニック受診の目的は、歯の定期検査とクリーニングのためです。恥ずかしながら、私は20代後半で「歯周病」と診断されました。ある日、歯磨きをするたびに、歯茎から出血することに気がついたのです。

「きっと、強く磨きすぎたのに違いない……」当時、電動歯ブラシではなく、普通の歯ブラシを使っていた私は、ゴシゴシと強く力を入れて歯磨きをしがちだったこともあり、出血してしまうことも少なくはありませんでした。そんなわけで、きっと今回も磨き方が良くなったからに違いないと思い、しばらく様子を見ることにしました。

 しかし、どんなに優しく磨いても、歯ブラシに血液がついています。そんな出来事が2週間ほど続きました。普段と違う状況に不安を感じた私は、近所の歯科医院を、中学生ぶりに訪問することにしたのです。

「これは、歯周病ですね」

 歯や歯茎の状況をチェックするなり、そう先生は言いました。私の歯茎は腫れてしまい、炎症を起こしていました。そのため、歯ブラシが歯茎に当たる刺激で出血してしまっていたというのです。

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若い世代にも罹患率は高い