――少しずつ形になってきましたか?
及川:社会と共生していく企業として、せっかく地域に約2千600カ所のお店があるのだから、地元に役立つこと、共創できることは何かないかと、マルシェのようなことを始めたり、市町村との連携を進めたりしてきました。
正直、業績的な回復は、ビジネスパートナーのショップがだいぶ減ってしまったので、まだまだ厳しいものがあります。ただ、ひとりひとりのオーナーの売上は伸びてきています。そうするとサスティナブルに仕事が続きますよね。
コロナ禍を経験して思うのは、社員やビジネスパートナーひとりひとりの可能性を引き出すこと、それを引き出すだめにはどうしたらいいのか。会社の仕組みだったり、自分たち自身の経営マインドを変えることがとても重要です。
私自身やりたいのは、個人が活躍できる経営なんですね。ダイバーシティー経営は、正確には、女性活躍のためではなくて、ひとりひとりのため。個性の中に女性という側面があっていいし、マッチョな男性の個性があってもいい。
――理想ですね。理想だなと思いつつ……。
及川:経営者に理想がなかったらどうするんです。私がどうせ無理だよねって言ったらそこで終わるので。理想と比較すると毎日負けていますが、少しでも近づきたいですね。現実との間でいつもドタバタ悔しがっています。
――経営者として、「I will」がはっきりしています。入社してからずっとモチベーション高くやってこれたのでしょうか。
及川:私は、ポーラの現場が好きだったんですね。頑張る人たちを応援するのが大好きだから。ショップオーナーの方々は母であり、妻であり、個人事業主で、子育てもしながら、人材も育成して……。この人たちの頑張り、商売をしながら人を育てるっていうのを応援したいと思っていました。
定年までこの応援業務を全うしようと若いころは思っていました。でも自己満足の世界だった。頼まれもしないのに土日も働いて、わかりやすく役に立つので周りから「ありがとう」と言われると、良い気になる。いい人に思われたいという気質が私にはあったんです。