疲労を蓄積させないためには、少しでも疲れたらケアすることが大事。どのような方法が効果的なのか。コンディショニングトレーナーで柔道整復師の庄島義博さんに聞いた。AERA 2024年9月9日号の「最強の回復法」特集より。
【写真】「柔道整復師が伝授! 首の可動域を広げる『黒目ふるふる』」はこちら
* * *
「多くの人は、体のケアのタイミングが遅すぎるんです」
そう語るのは、『朝起きてすぐに動きたくなる体』(サンマーク出版)の著者でコンディショニングトレーナー、柔道整復師の庄島義博さん。これまで五輪選手や歌手をはじめ、多くの人の不調を改善し、パフォーマンスを向上させてきた。
「疲れはこまめにとることが大切で、疲労回復のためには栄養が欠かせません。酸素や栄養素などを細胞に運ぶためにも血流をよくする必要があります」
血流改善のために大切なことは「隙間をあけること」だという。ただ、マッサージは体の表面を押し、ストレッチは筋肉をタテに伸ばすため、「隙間は生まれにくい」(庄島さん)。そこで考えついたのが「ふるふる」。筋肉をヨコに揺らす方法だった。
「ボルダリングの選手が疲れた手を振ったり、競泳選手がスタート台の前で腕や足を振ったり。人が無意識のうちにやっている行動に答えがあるかもしれない、と思ったのがきっかけでした」
庄島さんが編み出したメソッドはいたって簡単。例えば肩こりがひどいときやパソコンやスマホを長時間見て疲れを感じたときは二の腕の外側を痛くない程度につかみ、手首をでんでん太鼓のように約10秒回すだけ。実際に体験してみると、「ふるふる」をする前には、肩の高さに広げた腕が後方には行かなかったのに、揺らした後は目に見えて後方まで行くように。こんな簡単なことで……と絶句していると「体づくりやケアは、ラクだと効果がなさそうだと思われがちなんですよね」と庄島さん。
「ビフォー、アフターで体がどう変わるか自分で感じることが大事です。自己対話を通して自分のいい状態を知り、少しでも疲れを感じたらケアをして、減った“充電”を戻してください」