土砂災害と重なれば

 8日の地震は、四国も揺らした。最も揺れが大きかったのが、伊方原発がある伊方町で震度4。伊方原発は南海トラフ巨大地震の想定震源域にあり、3号機は現在、定期検査中で運転を停止しているが「再稼働」している。

 四国電力によると、原発の停止基準は190ガルで、8日の地震による揺れは「感知していない」。設計上は、想定される最大の地震(650ガル)にも耐えられるとする。

 しかし「伊方原発をとめる会」事務局次長の和田宰(つかさ)さん(72)は、不安を口にする。

「伊方原発のある佐田岬半島は地滑り地帯が多く、大きな地震が来れば道路が寸断されます。1月に起きた能登半島地震と同様、住民は避難できず深刻な被害をもたらす可能性があります」

 伊方原発で指摘されているのが、大地震など災害が起きた際の地形的リスクだ。

 佐田岬半島の尾根伝いに国道197号が走るが、橋梁やトンネルが多く、土砂崩れで道路が寸断される危険性がある。また、海沿いを走る県道は、海面からの高さが低く津波に襲われると使えなくなる恐れがある。

 さらに、伊方原発から30キロ圏内には屋内退避先として放射性物質を除去できるフィルターを取り付けた「放射線防護施設」が12あるが、そのうち10が土砂災害警戒区域にあるなど、地震と土砂災害が重なる複合災害になった場合、屋内避難先として使えないことになるという。

「伊方原発3号機の原子炉建屋などの下には5本の断層があり、南海トラフ巨大地震と中央構造線活断層帯が連動しこの断層が動けば、原発への影響は計り知れません」(和田さん)

 今回は震源から離れていたため揺れは観測しなかったが、浜岡原発も南海トラフ巨大地震の想定震源域にある。1、2号機は09年1月に運転を終え廃炉作業が進むが、3、4号機は再稼働を目指している。

 中部電力は、南海トラフ巨大地震で最大25.2メートルの津波が浜岡原発に押し寄せると評価している。しかし、既存の防潮堤は高さ22メートル。かさ上げなどの工事が必要だが、「現在、具体的な対策について検討しているところです」(中部電力)と言うにとどめる。

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