AERA 2024年9月9日号より

 原発は、施設や設備ごとに揺れやすい周期があり、周期ごとに最大の揺れの勢いを示す加速度(ガル)を想定し、基準を超えた場合は原子炉が自動停止するよう対策を取っている。

 九州電力によれば、川内原発が自動停止するのは80~260ガル。8日の地震は最大8.6ガル(震度2)を観測し、基準を満たさなかったため2号機は運転を継続したという。

 だが、鹿児島市在住で市民団体「ストップ川内原発!3.11鹿児島実行委員会」共同代表の向原祥隆(むこはらよしたか)さん(67)は懸念を示す。

「川内原発1号機は今年7月に運転開始から40年を超え、2号機は来年11月には運転開始から40年を超えるいずれも老朽原発で、事故の危険性が増しています」

「絵に描いた餅」

 向原さんがまず指摘するのが、避難の難しさだ。事故が起きた際、原発から30キロ圏内の住人は屋内退避が原則となっているが、住宅の多くは木造家屋で放射能の遮蔽効果はない。そもそも、地震で倒壊の恐れがある屋内には避難できないなど、避難計画は「絵に描いただ」と批判する。

「しかも、放射能は30キロ圏内で止まるわけではありません。事故がおき原発から放射能が放出されれば、風に乗って鹿児島市内まで2時間、宮崎市は5時間で到達します。あっという間に町が汚染されますが、何の対策も取られていない」

 さらに「川内原発は活断層の評価が不十分」と指摘する。

 例えば、13年に国の地震調査委員会は、甑海峡(こしきかいきょう)中央断層と呼ばれる断層が地震を起こせばM7.5となり、地震の規模は九州電力の想定より11倍大きくなると警告を出した。委員会の議事録には、この断層が川内原発まで延びている可能性があると記されていた。だが、「再評価がなされていない」と向原さんは警鐘を鳴らし、こう言う。

「危険性のある断層は調査し、リスクがわかるまで原発は停止すべきです」

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土砂災害と重なれば