廣津留さんは現在、国際教養大学と成蹊大学の教壇に立っている(撮影/吉松伸太郎)

Q. 廣津留さんは今、大学でどんな授業をされているのか教えてください。ご自身はどのように学生を評価していますか?

A. 特任准教授を務めている国際教養大学は、キャンパスのすべてが英語。そこで授業をいくつか担当しています。そのうちの一つ「Music Beyond Borders(マクロ音楽学)」という座学では、毎週異なる分野のトピックを音楽の視点で学びます。例えば、「音楽×教育」や「音楽×脳」「音楽×スポーツ」など。音楽は音楽に取り組んでいる人だけのものではなくて、日常にあふれていることを知ってほしいという思いがあります。学ぶことで、いろいろな物事と音楽との関係が見えてきたり、意外なところに音楽が潜んでいることを発見できたりと、多面的な考えや視点を持つことにつながっていきます。何かしらの問題解決を考える際、一つの分野だけでは解決できなくても複数の分野の視点があれば学際的に解決できることってありますよね。その一つとして音楽もツールとして考えてほしいと思って教えています。

 バイオリンアンサンブルの実技の授業も受け持っています。初心者の学生たちに楽器を持つ姿勢から教えます。授業の目的はバイオリンが上手に弾けるようになることではなく、音楽を通じてコミュニケーションをとりあい、協同作業を体験してもらうことです。アンサンブルとして演奏することでチームワークを育み、自分の演奏だけでなく周りの人に目を向けながらチームで0から1を作り上げることの楽しさを体感してもらいたいと思っています。

 またそのほかにも、成蹊大学では英語で行われるグローバル教育プログラム「EAGLE」の一部として、さまざまなテーマでのディスカッションを訓練・実践する授業を担当しています。

 成績評価は、やはり授業への参加度を重視しています。授業で発言した学生や、グループワークでは誰が議論をリードしているのかをきちんと見るように心がけていますね。ミニエッセーなどの課題も出しますが、文章がよく書けているかよりも、ユニークなアイデアがあるかどうかが評価のポイントです。最近だと文章は生成AIでも書けちゃいますしね。私のほうも、学生たちの創造性を刺激するような課題が出せるようにいつも頭を悩ませていますよ。

構成/岩本恵美 衣装協力/BEAMS

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