一方、面接以外でその人物を知る手段として、「リファレンスチェック」というものもある。これは、応募者の職務経歴や実績に虚偽がないかどうか、本人の同意を得たうえで前職の上司や同僚、部下などに確認できる仕組みだが、このリファレンスチェックの内容も大いに参考になる。
それは、応募者のマネジメントの仕方や部下へのコミュニケーションの取り方など、前職の関係者へのインタビューによって、詳細に把握できるからだ。
たとえば、「〇〇さんは強いリーダーシップで部下を叱咤激励することも多い」とか、「やや神経質なタイプで、部下の進捗状況を細かく尋ねることもある」などのコメントがあった場合は、パワハラ気質がまったくないとも言い切れない。
このように気になるコメントがあった場合は、面接でも入念に掘り下げるようにしている。
パワハラ加害を恐れて絵文字を多用する上司
最近は、部下から「怖い」と思われないよう、ビジネスチャットで絵文字を使う40~50代の管理職も出てきている。絵文字を多用する「おじさん構文」とは、もしや若い世代から恐れられないための窮余の策なのかもしれないと思うほどだ。
パワハラは決して許されないものだが、パワハラ加害を恐れすぎるのもまた働きにくさにつながってしまう。
誰もがその時々の体調や精神状態で感情が高ぶり、つい強い口調になってしまうこともあるし、受け取り側も必要以上に重く、悲観的に捉えてしまうこともある。だからこそ、互いの誤解や食い違いをなるべく早い段階で解消し、理解し合えるような空気も大切だ。
人事としては、パワハラしそうな人材を事前に見抜き、断固採用しないのはもちろんだが、一方でパワハラを過度に恐れすぎない「風通しのよい職場づくり」をしていく必要もあるのかもしれない。