ホンダで競技用車いす・レーサーを開発する池内康チーフエンジニア。選手の要望に合わせて、改良を続ける(写真:越智貴雄)

「最新型では、カーボン部分の重量を従来と比べて10%以上削減しました。乾いた雑巾をさらにしぼっている状態です。選手の要望に合わせて、レーサーも変化しています」

 車いすアスリートのための計測機器の開発にも、力を入れている。

「たとえば、車いすを100回こいだら、100回分の解析結果が出ます。力の強弱、1回あたりのこいでいる時間の長さ、左右のバランスなどが一目でわかります。そのなかで、トップ選手ほど力の使い方に再現性が高い傾向があることが見えてきました。この機器を使えば、トップ選手でも改善点を見つけることができます」(池内さん)

 道具の進化は競技力の向上に直結する。であるがゆえに、パラアスリートを支える人たちの想いは強い。パリ大会でも、これまで「不可能」と思われていたことが、人間の力の結集によって覆される瞬間に出合えるはずだ。(フリーランス記者・西岡千史)

AERA 2024年9月9日号より抜粋

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