実力差が大きい学童野球では、盗塁が刺せないことよって一方的なゲームになることも多い。写真はイメージ(画像の一部を加工しています)
実力差が大きい学童野球では、盗塁が刺せないことよって一方的なゲームになることも多い。写真はイメージ(画像の一部を加工しています)
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 あんな出来事があった、こんな話題があった…と記事で振り返る「あのとき」。一昨年の9月ごろに、多く読まれていた記事を紹介します(この記事は2022年9月3日に「AERA dot.」で掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。

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 小学生の学童野球。のびのびと野球を楽しむ子どもたちの姿はほほえましいが、最近、課題として焦点が当たるのが「盗塁問題」だ。力量差のあるチーム同士や中学年以下の試合では、投手はストライクが入らず四球を連発し、捕手は盗塁を刺す肩の強さがないため、盗塁やワイルドピッチによる進塁と得点が延々と続く「無限ループ」がしばしばみられる。試合にならない試合なのだが、投球過多でケガにつながる恐れだけではなく、子どものやる気がなくなってしまい“野球離れ”の原因になりかねないとの懸念もある。現場からは「盗塁禁止や回数制限などルールを変えるべきではないか」との意見もあれば、「盗塁必要論」を訴える指導者も。果たしてどんな形が望ましいのか。
 

 首都圏のベッドタウンで行われた、ある学童野球チーム同士の4、5年生だけの練習試合。チームAは強くて人数も多い。一方のチームBは野球を始めたばかりの子もいて、人数もギリギリだ。

 初回から力の差は明らかだった。Bの投手はストライクがほとんど入らず、捕手も捕球するのが精一杯。次々と打者を四球で出塁させるとなすすべなく二盗、三盗を許し、さらにはワイルドピッチにパスボールも連発。守備が終わらない。

 初回の得点は20点を超えただろうか。大差がついたころに、追い打ちをかけるような“悪夢”が起きた。

 チームAの一塁走者の男の子が大きくリードをとると、投手がモーションに入った瞬間、二塁へと「歩き出した」のだ。一般的に想像する野球では考えられない形での盗塁成功である。

 歩いて盗塁した男の子は、「相手に失礼だぞ」と自チームの監督に大目玉を食らい、しょんぼりしていた。監督が礼儀を教えるのは当たり前なのだが、やられた方の外野を守っていた男の子は家に帰ってから悔しくて大泣きした。

「どうやったって絶対に盗塁されちゃうじゃん。守ってるのが終わらないから試合がつまんないよ」

 ただ、ある保護者はこうも思った。

「歩いた子も、つまらなくて何か変わったことをしようと思ったのかも。ギリギリセーフみたいなことを味わいたかったんじゃないのかな」

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全日本軟式野球連盟ではルール改訂も検討