ここからもわかるとおり、イースターは同じ時期の各地の民間信仰(キリスト教的には異教信仰)を取り込み習合して今の形になったものです。
クリスマスが冬至の時期にあたり、もともとは異教の冬至の祭りがキリストの誕生日の祝祭に強引に結び付けられたよりは無理はないのですが、もしかしたら「過ぎ越し祭り」も、さらに大昔には春分の祭りだったものが特定の宗教・神話に結びついて変容したものなのかもしれません。
冬至がクリスマスで春分がイースター。とすると、あとの二つ、夏至と秋分に対応するキリスト教の祝祭はあるのでしょうか。
夏至は、6月24日が「聖ヨハネ祭」とされ、キリストに洗礼を授けた洗礼者ヨハネの誕生日として、ポーランド最古の都市ポナズンなどではランタン(紙風船)に火をともして空にあげるランタン祭りが行なわれ、盛り上がります。これについてはまたいずれの機会にご紹介します。
また秋分は「聖ミカエル祭(Michaelmas)」。カトリック教会では三大ミサ(mass)のひとつとされ(あとの二つは降誕祭christ mass、2/2の聖マリアのろうそく祭Candle mas)る大事な祝祭です。竜退治の大天使ミカエルを、これから闇、つまり夜が長くなる季節を迎えるにあたり、それに打ち勝つ力を授かるために藁で竜を作り、燃やしてキャンプファイヤーをしたりするようです。
近年、ますます盛り上がるハロウィン(どうもその分、バレンタインデーなどが下火気味なのが面白い現象です)にあやかり、ここ数年、イースターも続けと商戦がはじまりつつあるとか。
ただ、日本の場合イースターの頃というのはお花見行楽の時期と重なり、それがイースターの存在感をかき消している一因であり、商売人にとっては難題。でもお花見もバーターで売り出す商戦がヒットして、もしかしたら数年後にはイースターの日には町中タマゴとウサギのディスプレイが飾られて、某駅の交差点がコスプレでうかれる若者たちで大渋滞、なんて事になるかもしれませんね。