ホールタイプのトマト水煮缶を使うなら、手でよくつぶして。食感はもちろん、うま味もしっかり抽出できる

 市販のブイヨンの素やうま味調味料を使えば、うま味は簡単に加えることができますが、鶏がらや香味野菜を煮込んでとったスープのおいしさはそれとは別格です。煮込みに加える素材を自分で吟味することもできるため、うま味だけでなく同時に生み出す風味についてコントロールできるのが利点です。中国料理の白湯(パイタン)のように、鶏がらを強火でグツグツと煮て、白濁した濃厚なスープをとるとカレーの強い味とバランスがとりやすくなります。

 でも、カレーのうま味として最もオーソドックスかつ最も使い勝手がいいのは「トマト」です。グルタミン酸のうま味を持ち、加熱して脱水と濃縮をさせるとさらに強まって感じます。

 うま味だけでなく、適度な酸味も同時に加わるため、カレーの味わいを引き締める効果もあります。旬の時期に品質のよいトマトが手に入るときには生のトマトがベストですが、安定した味を作り続けるなら加熱済みトマトがおすすめです。

 フレッシュトマトを使うなら、ミニトマトがいいでしょう。甘みとうま味が強いミニトマトは、形と食感を残したいので、最後に加えてざっと混ぜ合わせて火を弱める。ヨーグルト、しょうがを加えてふつふつとするまで煮たら、その時点で火を止めるのがコツです。加熱済みトマトと違い、さっぱりとした甘みとうま味、酸味を与えるほか、湯むきなどの手間もいらないので手軽に使えるアイテムとして秀逸です。

 インド周辺諸国のカレーでは、トマトを加えるタイプが多く、その影響からか、日本のスパイスカレーでもトマトは活躍しますが、懸念点は、バリエーションを生みにくいことです。トマトの風味が強いため、どのカレーも似たような方向性になってしまうことがあります。あえて使わないという選択や、代用を見つけるのもあり。とにかく使いすぎには注意しましょう。

(構成 生活・文化編集部 森 香織/写真 齋藤圭吾)

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