また、JR東日本は「お客様の声を受けて線区の設定温度自体を変更する場合はございます」としており、より柔軟な印象を受ける。
車掌や乗務員ら人の感覚に頼る部分があるのは、温度の感じ方は一人ひとり違うからだ。同じ人でも、開閉の多いドアに近いかや日差しがあたるかなど乗車位置によって変わる場合があるし、エアコンの送風口や換気口からの距離や、立ちか座りかなど乗車時の体勢、その時に着ている服、乗車時間などによっても冷房の感じ方は変わってくる。
各社局とも、SNSでの論争は多かれ少なかれ把握しているようで、対応に苦労している様子もにじむ。
JR東日本は「社内でも近年の酷暑に対して注視しています。しかしながら、お客様からは車内が暑いという声だけでなく、寒すぎるという声もいただいており、弱冷房車の必要性は変わらないと考えています」と答えた。
東急電鉄も「『暑い』というご意見を頂戴する一方で、空調がききすぎて『寒い』といった両方のご意見をいただくなど、すべてのお客様に快適と感じてもらえる環境を提供できていない状況に苦慮しています」と打ち明ける。乗客の声を参考に、設定温度のあり方についても検討しているという。
気温が高くなる一方で、車両や空調の技術も進歩する。乗客はもちろん、ほかの鉄道や路線との乗り入れ、編成の仕方などにも気を配らなければならない。弱冷房車の運用は思っていたよりも大変そうだ。