――なぜオーストラリアの学校を選んだのですか。
オーストラリアは自然が豊かで、おおらかな気質もいいなと思います。奥さんがワーホリで滞在していたので土地勘がありましたし、何度か家族旅行もしていたので、馴染みのある国だったんです。今、現地の公立校に通っていますが、奥さんの友達のお子さんが在校生ということで、前もって学校の雰囲気を知ることができたのも決め手の一つでした。
――国内にも、特色のあるインターナショナルスクールが増えています。
実は卒園後にインターに通ってみたら、たまたま雰囲気が合わず、近所の公立小学校へ通うことになった経緯があります。他のインターでもよかったんですが、せっかくなら現地で、英語を浴びられるだけ浴びてきたらいいんじゃないかと考えました。何より本人が望んでいることですし。そして、これまで見てきたものとは違う景色を目にしたり、外国でマイノリティーとして過ごしたりすることにも意味があるのでは、と。
――留学の目的は英語だけではないと。
むしろ「経験」のほうが大きいかもしれません。もちろん英語力が身に付けばよいですが、いろいろな人や考えに触れることで、経験の幅を広げてあげられたらって。
昔、僕が友人とオーストラリアを旅していたとき、通りすがりに卵を投げられて、当たらなかったものの、すごくびっくりしました。現地の人によると、アジア人に卵を投げて当たったらカジノで勝てるというイジワルなジンクスがあるんだそうで。そういうリアルもあるんだと身をもって感じたんです。娘が海外で過ごす時間のなかには、いい体験がたくさんあるはずですが、理不尽なことで嫌な思いをする場面もあるかもしれません。そういうことも含めて、何を感じるのかが大切かなと考えています。
――7歳で送り出す決断には、葛藤はありませんでしたか。
正直、僕の考えが若干浅かったかもしれないと思うこともあります。
これまでも仕事の都合で毎日会えなかったり、すれ違いで寝顔しか見られなかったり。なので、ビデオ通話があれば大丈夫と、どこかで思っていたんですが、近くにいないのはやっぱり寂しいです。久々に会っていつの間にか大きくなっていた、みたいな空白の時間ができてしまうのが、親としてどうかなとも思ってしまいます。