占い師、作家 しいたけ.
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 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

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Q:職場にこんな人たちがいます。悪口を言う、癇癪を起こす、嘘までついて周りの誰かをこき下ろし自分の価値を上げようとする。会社の評価制度が厳しく、人減らしが画策されている中で、その人なりの生き残りをかけた戦いをしているつもりのようですが、迷惑です。管理職が注意をしても、しばらくするとまた繰り返しです。このまま我慢して働き続けていいものか悩んでいます。(女性/派遣社員/56歳/おうし座)

A:こうした事態に直面しながらも、「その人なりに生き残りをかけた戦いをしているんだろう」と思える、その洞察がすごいなと思いました。

 外からは見えない、その人だけに見えている敵と戦っている人、なんだか最近多くなっている気がします。

 本人にとっては何かしらの戦いが全く終わらない状態が続いていて、一時的に戦いが止まることはあっても、また戦いが再開してしまう。

 そういうものをどうやって気にしないようにするかは、各自に突きつけられている課題かもしれません。 

 僕なりの答えをお伝えすると、僕は「我慢は2年まで」というルールを定めています。

 本当に不快な状況があって、それが明日以降も続いていくだろうと思った時、それはもう自分で環境を変えていくしかないような気がします。

 なぜ2年かと言うと、調査期間に充てられるから。環境を変えるためにどういう道があるのかを精査して今できることをやってみたりとか、それがダメなら例えば転職先を探したり。例えば会社でも、赤字部門があったりする時に2年ぐらい時間をかけてプロジェクトを組んだりしますよね。対策本部を作って、商品を変えてみるとか思い切って撤退してみるとか、そういう試行錯誤をする期間としての2年間、というイメージです。

 我慢を2年以上続けてしまうと、自分が削られていって、取り返しがつかなくなります。それは我慢ではなく、自分を殺すことだし、何より怖いのは、ゾンビに噛まれた人みたいに、自分がゾンビ化していくこと。嫌なものを撒き散らす側になってしまうという怖い現象が起きる恐れがあります。我慢はゾンビ化を招いてしまうんです。

 おうし座に関して言うと、「許せない人」にすごくとらわれてしまう時があります。おうし座は美学がはっきりしている人たちだから、「なんでこの人こんなことするんだろう」という疑問とか、許せなさみたいなものに深入りしてしまうんですよね。

 深入りしてしまうのは決して悪いことではないですが、できれば自己対話ノートみたいなものを作ってみてください。どうしてその人が気になるのか、彼らはどんな時にどういう行動をしたのか、など、自分にインタビューする感じで徹底的に書きます。細かくその「悪」を観察しながら、自分と対話をする。

 ノートに書く利点は、手が疲れることです。紙に書くという労力を使ううちに、気づけばすっきりしていることも多いはずです。

AERA 2024年9月2日号

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しいたけ.

しいたけ.

しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「しいたけ. 公式サイト」では月刊占いやコラムを連載中。 https://shiitakeofficial.com/

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