TBSの記者として、ニュース番組のキャスターとして30年余り、千人超の人たち(政治家や経営者、スポーツ選手、俳優、音楽家、さらに事件、事故、災害の被害者やその家族など)に会い、話を聞いてきた著者の「インタビューの心得」を一冊としてまとめた。
「用意した質問(の紙)は手元に置くか」「あからさまに時計を見ないようにしよう」「ICレコーダーは回すのか」「できるだけ目線を同じ高さにしよう」「インタビューだからこそ聞けることがある」「相手が嫌がることをあえて聞くには」など豊富な経験をもとに語る具体的なアドバイスには説得力がある。
 内向的で静かな少年だったという著者が、大人になって「聞く力」「話す力」を培うなかで、「最後にものをいうのは人間力」との考えにたどり着く。だが、どんなに経験を積んでも、「緊張も、反省もあり、同時に面白さ、奥深さを感じている」という言葉に著者の「誠実さ」が表れている。著者の講義を受けているような気持ちになる本書。インタビューの素晴らしさや可能性を、わかりやすく説いている。

週刊朝日 2016年3月25日号

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