青戸:それでも1年で東大に合格されるのはすごいですね。勉強法で工夫されたことや、意識されていたことを教えてください。
風間:時間の使い方は重視していましたね。たとえば苦手な科目や、あまり気が乗らない科目を勉強するときは、勉強時間を短く設定して、その短い時間だけは集中して100%勉強に費やそうと心がけました。「1時間勉強するぞ」と決めて20分しかできないよりは、「10分やるぞ」と決めて10分勉強するほうが価値は高い、という考え方です。
また、過去問演習をする際は、記述式の答案を書く時間が想像以上にかかるため、本番と同様に時間を計測し、答案用紙への記入時間を含めた時間配分を考えながら取り組んだことが功を奏したと考えています。
大人になると学ぶ意義がわかる
青戸:そういった時間のメリハリのつけ方は、さすが社会人ならではという感じもしますが、その勉強のスタイルは学生時代と同じですか?
風間:いえ、そんなことはありません。学生時代は、どちらかというとやらされる勉強が中心でした。当時は勉強する理由が「学校の先生にやれと言われたから」「周りの子もやっているから」くらいのもので、復習もちゃんとしていませんでしたね。
青戸:そうでしたか。当時はあまり、勉強熱心な生徒ではなかったと。
風間:そうですね。昔といちばん違うのは、主体性ですね。大人になってからの勉強は、明確な目的や目標を持って、自分の意志でやるものです。学んでいる内容が何の役に立つかがわかるようになったので、やらされる勉強と違って意義も感じますし、楽しかったですね。もちろんしんどいこともありましたが、それ以上に勉強が楽しいと感じるほうが強かったから、続けられたんだと思います。
青戸:勉強が楽しいという感覚は、よくわかります。私は小学生のころから歴史が苦手科目だったのですが、東大受験で世界史を一から勉強したことで、現代で起こっている紛争や領土問題の背景がよくわかるようになったんです。
あの勉強で初めて歴史を学ぶ意味や価値を認識できて、ちょっとした感動すら覚えました。学生時代と比べていろいろな知識がついたり視野が広がったりしたことで、歴史のほかにも「なんで当時はこんなことがわからなかったんだろう」と思うことが何度もありました。
風間:同感です。それで言うと、大学に入ってからの勉強はまた一段違った楽しさがありますね。