アメリカのMGMリゾーツ・インターナショナルと日本のオリックスが出資する事業者「大阪IR株式会社」(大阪IR)の関係者は、
「万博開催期間の半年間、IR工事を中断するのは無理だと突っぱねている。半年も中断すれば、事業費がかなりのコスト増となるのは明らか。それでなくとも工事のスケジュールは遅れている。地盤の状況も最初に知らされていた以上に悪い。とてもじゃないが、応じることはできない」
といら立ちを隠さずに話した。
高さ30メートルのクレーンや重機、ダンプの出入りも
IR予定地では、万博が開幕する時期には地盤対策工事を完了させ、杭打ちなどを着手する予定になっている。つまり、本体の建設工事に入るタイミングだ。
杭打ちには、巨大なクレーンや杭打機などたくさんの重機が投入される。
万博会場の工事をしているゼネコンのスタッフに聞くと、
「IRの本体工事の内容をネットで確認した限りですが、杭打ちのためには高さが30m近くになるクレーンや重機が数多く投入されるでしょう。取り除いた泥や土砂を搬出するダンプカーの出入りもかなりの台数になります。万博は半年限定の仮設の建築ですが、IRは恒久的なものですから、その規模は万博をはるかにしのぐものです」
と教えてくれた。
万博の運営主体の国や万博協会、大阪府市などは「夢洲万博関連事業等推進連絡会議」を設置し、会長に首相補佐官、委員の座長に大阪市の副市長を置き、万博とIRについての情報共有や調整をしてきた。今年6月の会議でも、万博期間中のIRの進め方、騒音や振動、景観対策などについて触れている。
大阪市のIR推進局によれば、
「事務レベルでは、地盤を掘り下げたところから工事を始めて、周囲を壁で囲うなど、景観などにも配慮して進めるということで説明をしてきました。リングなどから巨大なクレーンがどのように見えるのか、その対策を整理している最中でした」
と説明する。
しかし、万博協会側とIR事業者側の“溝”は埋まっていないようだ。