6月29日に在職1000日を迎えた岸田首相だが、「ポスト岸田」の動きが活発になっている
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 岸田文雄首相が15日、会見を開き、自民党総裁選に立候補しない意向を表明した。国民にわかりやすく「自民党が変わることを示す」ため、身を引くことを決めたと話した。一兵卒として新しい次の首相を支えるという。とつぜんの表明に「岸田ショック」と衝撃が走ったが、実はすでに総裁選への駆け引きは始まっていた。直近の水面下の動きを追う(この記事は、7月5日に配信した内容を再編集しました。年齢や肩書などは配信時のままです)。

【写真】総裁選に先走る動きに苦言を呈したのはこの人

「もう号砲が鳴ったような雰囲気だ。連日のように『一杯飲もう』と飲み会の日程でいっぱいだよ」
 と、自民党の中堅クラスの衆院議員がスマホの予定表を見せながら苦笑する。確かにほぼ毎日、総裁選関連と思われる飲み会の予定があり、一晩に2つの飲み会の日もあった。

 まだ東京都知事選の真っ只中だが、自民党の関心事は9月の総裁選。岸田文雄首相が、まだ自身の進退を明確にはしていない中、ポスト岸田を狙う動きが次々と噴出している。

幹事長が「総理大臣」発言

 6月30日朝、テレビの報道番組に出演し、
「総理大臣になってやりたい仕事があるのは間違いない」
 と語ったのは茂木敏充幹事長。

 茂木派のトップでもあった茂木氏は、麻生太郎副総裁ともに、岸田政権を支えてきた。だが、早くも岸田氏の「次」への出馬表明にも思える「総理大臣」発言。

 茂木派の国会議員がこう話す。

「総裁選に色気を見せる人の動きが活発になってきたので、我慢できなくなったのでしょう。飲んでいる時も『総理になれば』とか時々大演説しています。ついテレビでも出てしまったのかな」

菅前首相と会食重ねる石破氏

 茂木幹事長を焦らせている一つの要因は、元幹事長の石破茂氏の動向だ。世論調査で「次期総理候補」として常に上位にランクされ、国民的人気は高い。

 石破氏は7月1日に都内のホテルで菅義偉前首相、武田良太元総務相(二階派)と会食した。無派閥の石破氏は、非主流派に甘んじている同じ無派閥の菅氏や二階派との連携を模索して会食を重ねているようだ。これらの会食が報じられている背景について、自民党を取材する記者がこんな話をする。

「石破氏の会食情報が石破氏周辺から出て、そこに駆け付けると、菅氏も来るというパターンです。石破氏がPRしたいのでしょう。総裁選への意欲の表れでは」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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