首都直下地震では、停電の復旧完了は約4日後と想定されている。ただし、発電所や基幹送電網などの被災、発電用水の断水は想定に含まれていないので、もっと長引く恐れもある。地震だけでなく、荒川などの氾濫(はんらん)、東京湾の高潮、富士山噴火などでも大規模で長期間の停電は不可避と想定されている。
三井不動産などが2025年3月に東京都港区に完成予定の約1千戸のマンション「三田ガーデンヒルズ」は、中圧ガスを使った発電や太陽光発電で、停電時でも各棟2台のエレベーターに加え、各家庭の照明や給湯器、冷蔵庫も動かせる電力を供給する。災害時に冷蔵庫がそのまま使えるのはとても助かるだろう。三井不動産広報部によると、共同住宅単独で、停電時に専有部でも電気が使える建物はまだ多くないという。
ただしこの建物でも、各家庭でエアコンは使えない。発電能力に限りがあり、停電時は救護など防災活動の拠点になる一部の共用室でのみ空調が動く。(ジャーナリスト・添田孝史)
※AERA 2023年8月28日号より抜粋