写真はイメージ(GettyImages)

認知症予防の最新の報告

 一つ目にご紹介したい最新の報告は、2024年7月31日に医学誌ランセットに公開された「認知症予防、介入、ケア2024(※3)」です。この調査結果によると、認知症の症例の約 45% は、幼少期から生涯にわたって、人生のさまざまな段階で 14 の認知症リスク要因に対処することで、認知症を予防または遅らせることができる可能性があるというのです。

 では、認知症を予防できるかもしれない14のリスク要因とは、どんなものなのでしょうか。報告書では、「教育水準の低さ、頭部外傷、運動不足、喫煙、過度のアルコール摂取、高血圧、肥満、糖尿病、難聴、うつ病、大気汚染、社会的接触の少なさ、高コレステロール、視力低下」の14項目が挙げられています。

 著者らは、今回、新たに40歳前後の中年期の高コレステロールは認知症症例の7%と関連しており、高齢期の未治療の視力喪失は症例の2%と関連していたことがわかったことに加えて、世界中で認知症を発症する人の最大の割合に関連するリスク要因は、「高コレステロール、聴覚障害、幼少期の教育不足、老後の社会的孤立」の4つであることを発見したと述べています。

 とはいえ、大気汚染や幼児教育など、個人だけでは対処できない項目が挙げられているのも事実です。そこで、著者らは、14のリスク要因に基づいて、認知症の予防やより適切な管理に役立つ13の政策およびライフスタイルの変更も、報告書の中で推奨しています。

 例えば、政府機関に対する政策指針として、質の高い教育がすべての人に提供されるようにすること、喫煙や過度の飲酒のリスクとその防止方法に関する情報を提供すること、価格を統制すること、公共の場での喫煙を防止することなどを推奨しています。

 また、ライフスタイル面では、例えば、認知機能を刺激する活動に参加すること、接触スポーツや自転車に乗る際には頭部を保護すること、定期的に運動をして、健康的な体重を維持すること、肥満をできるだけ早く治療すること、40歳からは収縮期血圧を130mmHg以下に維持すること、そのほかうつ病、難聴、視力低下、高コレステロールの治療をすることなどを推奨しています。

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