僕は中学校の時に、同じセンスと興味を持った仲間と「ひまじんクラブ」というグループを作りましたねん。とにかく面白いことをやろう、面白いことを話そうとした仲間やね。

 中学校を卒業して、それぞれがバラバラな高校に入った後も、メンバーは自分の高校で出会った面白い奴らをつれて集まったんよ。クラスに面白いと思える生徒がいなくても、他の高校の面白い奴と出会えたわけやね。

 それでね、WISHはん。WISHはんが、自分の笑いを本当に楽しそうに追究してたら、クラスの笑いの許容範囲も少しずつ変わる可能性もありまんがな。えっ?こんな言い方しない?ニセモノの関西弁、いいかげんにやめろ?えろうすんまへん。

 みんな、まだWISHはんの笑いのテンポとスピードに慣れてないだけと思うで。受験勉強はしても、笑いの勉強はしてないんやから。知らんけど。

 みんなが慣れてきたら、WISHはんの「高校の目標は沢山の人を笑わすこと」が実現できる日もくるかもしれまへんがな。

 ということで、WISHはん。受けなくて傷つくこともあるやろ。なんでこんなことしてんのかいなと泣くこともあるやろ。安心してええ。全部、自分に返ってくる。全部、自分の糧に、肥料になる。やがて、自分でもびっくりするぐらい、無敵なエンターテイナーになりますがな。それだけは間違いない。高校卒業後が楽しみですわ。

 最後に、おぞねとしこさんという詩人の「花」という詩の一部を送って終わりにしまひょ。

 さあ涙をふいて
 あなたが花におなりなさい
 あなたの花を咲かせなさい
 探しても探しても
 あなたの望む花がないなら
 自分がそれにおなりなさい

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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