山田:勇気あるよ。で、案の定はがれ落ちちゃっても、めげずにチャレンジし続ける。名誉とか世間体とか気にしてたらできないよ。

こやま:コンプレックスとかなさそうですよね。

山田:いや、コンプレックスはあったみたいだよ。ダ・ヴィンチは、1つ上の世代のレオン・バティスタ・アルベルティを尊敬してた。絵画、彫刻、建築から時計づくりまで何でもできた天才で。

こやま:レオナルドみたいな万能の天才ですね。

山田:それ以上に万能かつ天才だった。しかも家柄もよく、大学も出てて、運動能力まで高い。ダ・ヴィンチはそこまで家柄が高くなく大学にも行けなかったからラテン語ができず、それがコンプレックスだったみたい。自分は無学だとボヤいてるし。

こやま:その人みたいになりたかったんですかね。

山田:オレはそう思ってる。アルベルティみたいになりたかったのではないかって。でもダ・ヴィンチがそこまで尊敬していたアルベルティの名前を知ってる人は、今となっては少数派。

こやま:知らないですねー。

山田:それは絵画や彫刻で有名な作品を残していないからですよ。

こやま:やっぱり一発ヒットが大切ってところにつながりますね!

●いちばんのヘンタイはレオナルドさん

山田:アルベルティは素晴らしい建築作品や研究書をいくつも残しているのに、誰もが親しみやすい分野での代表作がない。だから知る人ぞ知る存在にしかなり得なかった。その点、ダ・ヴィンチは、絵画というポピュラーな分野で『モナ・リザ』という世界中に受け入れられやすい代表作があるし、メモや素描が残る発明品にもヘリコプターだったり機関銃だったりと、わかりやすい食いつきどころがいっぱいある。

こやま:ま、たぶんやりたかっただけですけどね……。

山田:ダ・ヴィンチのわかりやすさは、自分は大卒のインテリじゃないというコンプレックスがあったからこそなんじゃないかと思うんですよね。

こやま:やっぱり、ダ・ヴィンチの話がいちばん盛り上がりますね。

山田:それに比べて、ミケランジェロはかわいそう。圧倒的にスゴイ業績を残した超人なのに、人気ではダ・ヴィンチに及ばない。

こやま:でもこの人になりたくないというのはありますよね。いちばんのヘンタイはレオナルドさんということでいいですか?

山田:まあ、なりたいヘンタイは、ダ・ヴィンチということで。

こやま:なりたくないヘンタイは、ミケランジェロ。

山田:ラファエロは……、ヘンタイというよりただの早死にしたリア充ですね。